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喘息患者がタバコを吸うのはまるで静かな自殺のようだ

エッセイ

「自分の意志でタバコをやめることができない」

こんなに恥ずかしく情けない体験を人生でするとは考えてもみなかった。

 

僕は幼い頃から喘息を持っている。

小学生だった頃はとくに酷く、2週間に1回のペースで救急病院に運ばれていた。

今ではそれほど大きな発作は出ないけれど、未だに吸入器なしでは安心して外を歩けない。発作の予兆が全くなくても、幼少期のトラウマが原因で不安になってしまう。

 

確かにまだ不安は残っているが、ここ数年はだいぶ体調が良かった。

生まれてから長い間、喘息と付き合ってきてやっと発作が起こりにくい身体になった矢先、僕はタバコを吸い始めてしまった。

 

 

 

最初は家で吸っていたが、そのうち外でもタバコを吸わないと落ち着かないようになってしまった。

ある時までは、学校でもお世話になっているインターン先でも非喫煙者のフリをしていた。

しかし、我慢ができなくなりどこでも喫煙所があれば火をつけるようになってしまった。

 

去年の中旬の話だ。まだ、一年も経っていない。

 

しかし、すでに心と体はだいぶダメージを受けている。

 

まずはじめに、夜中息ができないくらいに喘息が悪化してしまった。

呼吸ができず飛び起き、何度か本気で救急車を呼ぼうとしたことがある。

吸入器を使っても、発作が治まらなくなってしまった。

周りには"季節のせい"と言い訳していたが、タバコが発作の原因になっていることは間違いない。

タバコで気管支が慢性的に炎症を起こして、空気がうまく肺に送ることができない。ただでさえ、喘息患者の気管支は炎症を起こしていて狭くなってなっている、というのに。

喘息が治まりつつあったここ数年は吸入器1つしか携帯していなかったが、今では吸入器2つに一つの錠剤を持ち歩くようになった。

それでも毎日、喘息の発作は起きてしまう。

 

タバコに火を点ける度に、喘息が悪化してしまうことは分かりきっていた。

しかし、やめれなかったのはなぜか。

 

僕がタバコを精神安定剤のように吸っていたからだ。

 

もちろん、「タバコによって精神が安定する」というのはニコチンが魅せる幻というのは分かりきっていた。それを否定する研究結果や記事もいくつも読んだはず。

でも、やっぱり止めれない。

僕はパニック障害という精神疾患も持っていて、時より何もないにもかかわらず強烈な不安感を感じることがある。

しかし、喘息と同様にパニックの発作も最近では本当に多くなった。

やはり、パニックを起こす頻度の増加もタバコが原因だろう。

 

ニコチンが体から無くなって不安感が生まれる。

その不安感を一時的に忘れるために、また一本。

煙を吸い込むたびに、気管支が炎症し息が浅くなる。

深く呼吸をできず不安を覚えて、もう一本。

 

悪循環というのはこういうことなのか、と身をもって感じることになった。

 

タバコにポジティブな意見を持つ学者もいるが

やはり「タバコは命を削る行為」というのが一般論だ。

タバコが健康に良い、と自信と証拠を持って主張できる人は多分そういない。

喫煙者のほとんどは「タバコが健康に悪い」ことを承知で吸っている。

それゆえ、周りはどうすることもできない。また、その必要もない。

 

でも、「喘息」や「精神疾患」を悪化させるほどの価値がタバコにはない。

生活で感じるストレスが少し軽くなった今、僕はそう思えるようになり禁煙外来へ通院し始めたところだ。

タバコが人生を見直すキッカケになるとは、なんだかバカらしい。

 

何はともあれ、この記事で僕がもっとも伝えたいことは

喘息患者がタバコを吸う行為は「命を削る行為」に等しいということ。

 

それはまるで「静かな自殺

とでも表現して、書くのを終えよう。