Papa's Spaghetti

パパのスパゲッティ

限度を知らぬオレの出世払いだが、借りた相手の人生には終わりがある

先週の木曜日だったか、バイトへ行く電車で音楽を聴いていた。

北海道札幌が生んだ伝説的ヒップホップグループ"THA BLUE HERB"の「未来は僕らの手の中」という曲。

THA BLUE HERBは、札幌のゲストハウス(安宿)で住み込みで働いていたときに、そこのオーナーから教えてもらった。

日本語ラップにまだ耳が慣れていなかった頃だった。“これがラップにカテゴライズされるのか”というのが率直な心境だった。

しかし、今ではこれが一番しっくりくる。

「未来は僕らの手の中」はこう始まる。

“何時だろうと朝は眠い ぎりぎりまで寝て飯も食えずに
10時5分前の地下鉄に飛び乗る 自給650円に
俺は口答え許されないウエイター 客のランチタイムの奴隷だ”

このリリック(歌詞)が僕の現状を表しているから好きなのではない。

僕は24時にはベッドに沈んでいるし、朝6:40に起きて朝ごはんを食べる。8時5分の京急線に"飛び乗る”のは同じだが、僕の時給は1,250円だ。

ただの雇われウェブライターで、ランチは大戸屋に行くから僕は客だ。

でも、なぜかこの曲に心がゆれるのだ。

この曲でマイクを握っているBOSS THE MCは自身の音楽活動とバイト生活について歌っている。

それゆえ、バイトしながら夢を追いかけているような若い人には共感性が高い一曲だと思う。

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限界を知らぬ俺の出世払い

この曲で一番やられてしまった言葉だ。

僕が出世払いをお願いして残っているのはもう母と父方のおじいちゃんしかない。

父方のお婆ちゃんも生きてはいるが、出世払いの約束はおろか、僕の名前すらも覚えてはいない。アルツハイマーになってからもう10年が経つ。

出世払いに、入居している介護施設の部屋をアップグレードをさせてあげるしかできないな。まぁわかってくれるさ。

父は早くに亡くなったから、出世払いを申し出る機会がなかった。母方のおじいちゃんには中学生のときに自発的に通っていた演劇教室の費用(何を考えていたのか)や大学の学費を工面してもらっていた。

しかし、彼も去年の9月にこの世を去ってしまった。

恐らく、出世払いとは本来こういうものなのだ。

しかし、僕はまだあきらめてはいない。

僕の母はまだ健全だ。

この間、用事があり母の職場まで出向いたが、ピンっと姿勢よく立ち何時でもお客様を対応できるような格好の母を見た。夜の8時を過ぎていたのにも関わらず。

向こう20年は固い、と勝手にみている。

問題は父方のお爺ちゃんとお婆ちゃんだ。僕の第二の育て親と言っても良いくらい、何かある度に助けてくれた。

お婆ちゃんはアルツハイマーだし、お爺ちゃんは心臓に限界が来ている。

しかし、二人には逝ってしまってはこっちが困る。

だから、日頃からなるべく連絡を取るようにしている。

2日に一回は必ずお爺ちゃんにラインをする。

そう、お爺ちゃんはラインしているのだ。

僕が教えた。

週末の真昼間から一緒に酒屋に行くときに少しずつ教えていったらすぐにマスターした。

この間の夜遅く、お爺ちゃんが眠りに就いているだろう時間に、バイト先の給料とフリーで受注した仕事の報酬額を足したものをラインした。

爺ちゃん、今月はこんだけ稼いだよ!とひと言添えて。

出世払いがそう遠くではない未来と思ってもらうため。

いわば「出世払いの牽制球」とでも言おうか。

 

起きて、お爺ちゃんからのメッセージがラインに一件。

「おはようー 今日わ少し寒いね 稼ぐのもいいけど勉強忘れないで」

ほげぇー完全に忘れた。

まだ一応、学生の身分か。